ゼロから始める経営学 Vol.26
第2章 国際化のための戦略と組織
3 国際化の先進事例
(1)ブラザー工業 -先進国での成果をテコに
・ブラザー工業…ミシンとタイプライターの代表的なメーカーであって、日本国内よりむしろアメリカやヨーロッパで認知度の高い会社であった。ロサンゼルスオリンピックのタイプライターの使用では「母国中心国際化」(インターナショナル)の典型例だと思われる。円高の直撃を受け苦境に陥るが「切り札商品」として「399ドルファックス」プロジェクトがある。
・このプロジェクトは製品価格と市場投入時期に関する思い切った目標をまず初めに設定し、その目標達成のために、開発の思想から開発体制、開発手法、さらには販売方法に至るまでそれらを文字通りゼロから見直して作業を進めた。
・国内市場より海外市場の開拓に先行的に取り組むとともにメインユーザーとしては、先進国の中の中小企業や個人事業者に一貫してターゲットを絞った。これは先行する日本勢ライバル企業と大きな違いであった。
・要するにブラザーは米欧を中心とした先進国市場の中の、特定セグメントに狙いを定めた新製品展開によって高い経営成果を獲得したのである。
(2)新興国、とくに中国で奮闘するホンダ
・ホンダ…国際ビジネスの経験の蓄積という点で最も先行している一社はホンダである。1959年に海外現地法人第一号であるアメリカホンダを設立し1963年にはベルギーで海外初の二輪車生産を開始している。
・コピー品に苦戦するが、大手コピーメーカーと合弁会社の新州本田を作る。この合弁によって低コストの製品開発・生産するノウハウを得たホンダは収益性改善が進んだといわれている。
・成長ポテンシャルの高い国への進出は魅力的な進出先だが、ボリュームゾーン(大きな市場部分)は製品価格が安いので高コスト傾向の日本にとっては浸透が難しいのである。
・この状況下では何らかの方法で価格競争力を強化してボリュームゾーンで戦う道を選ぶか、高価格・高品質のニッチ市場へ逃げていくかのいずれかである。前者はホンダで、後者は望ましくないのである。
(3)グローバル市場全体で高成果を上げ続けるコマツ
・コマツ…建設事業の売上世界二位で営業利益は一位である。一例として中国進出を見ると、中国進出は①完成品の輸出、②現地メーカーへの技術供与による委託生産、③直接投資、の三つの段階に分けられる。
・社内で「Aコンポ」と呼ぶ基幹部品についてはすべて日本で集中生産してコストを削減してノウハウをブラックボックス化している。
・一方製品の組み立ては「マザー工場制」を採っている。海外で同じ機種を生産する際、品質・コスト・納期に責任を持ち、海外工場を立ち上げる時は設備導入から原価管理・在庫管理に至るまでマザー工場が面倒を見る。
・製品販売から利益をあげるだけでなく「アフターマーケット・ビジネス」という物がある。
・KOMTRAXというセンサーをつけ、GPS情報などを得て、CSS-Netと呼ばれるシステムでアフターサービスに関する情報をデータベース化した。この二つで顧客満足度あげて、世界規模を実現した。
・建設機械業界の環境激変によく適応し、高い成果をあげている「ダントツ経営」の事例である。
(参考)経営学 入門(下)
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